
山形の舟山さん★自民党みちのく1人区全滅
みちのく1人区全滅の衝撃に自民党が沈黙した。29日投開票が行われた参院選の東北6選挙区(改選8議席)は、自民党が宮城、福島の2人区で辛うじて各1議席を確保するにとどまった。政権与党への逆風が吹き荒れ、根っからの支持者さえもが背を向けた1人区。序盤の接戦からの逆転負け、そして大惨敗。強固な地盤を誇った東北で、自民党の防衛ラインは山形から秋田、青森と後退を続け、ついには総崩れとなった。
敗戦の弁が怒気をはらんでいた。秋田選挙区の前職金田勝年さん(57)。「秋田のため、いろいろ課題を訴えてきたのだが…」と肩が震えた。2期12年の実績は、一瞬にして吹き飛んだ。
街頭演説では「年金記録不備問題は絶対解決する。信じてほしい」とひたすら頭を下げて回った。これで自民批判も収まるかと期待するたび、閣僚の失言や事務所費問題が足をすくい、戦意をくじいた。
1人区総崩れの予兆は、選挙戦のさなかからあった。
国会議員5人、県議30人に公明が加わり、分厚い布陣で新人対決に臨んだ山形選挙区。篠原みえ子さん(59)の個人演説会は、どこも盛況だった。が、選挙戦終盤、山形市内で開いたミニ座談会で小さな反乱が起きた。
「今回は民主に投票する」。公然と放った支持者の一言。自民県連の平弘造幹事長は「東京から吹いてくる逆風が強すぎて、山形の候補を選ぶ戦いにならなかった」と唇をかむ。
青森選挙区の前職山崎力さん(60)の陣営は、公示直後から支持者の相次ぐ抗議にさらされた。
青森市内では、政党カーに乗った市議に「なんで党の車に乗るんだ」という苦情電話が殺到した。県連幹部にも「今回は駄目。比例も自民に入れない」という声が舞い込んだ。
重苦しい空気が包む選挙事務所。山崎さんは「党にとっても、わたしにとっても最悪の事態になった」と語るのが精いっぱいだった。
参院選と衆院岩手1区補選のダブルで敗北を喫した岩手。千葉伝県連幹事長は「地元の努力ではどうしようもない」と落胆し、「そもそも党本部を頼りすぎることが間違いだ」と吐き捨てる県議もいた。
東北では、福島選挙区(改選数2)の1議席にとどまった1989年参院選に次ぐ大敗。議席を守った2人区にも勝利の余韻はない。
宮城選挙区の愛知治郎さん(38)の事務所では「党総裁として責任を取られると思う」と安倍晋三首相の責任論に言及する国会議員もいた。
福島選挙区の森雅子さん(42)の陣営では、県連幹部が「地方の党組織が1位当選だ、2位当選だと票数を分析するような状況ではない」としらけきった表情を見せた。
◎青森で農民票反乱 効率化優先農政に「ノー」
自民、民主両党が最終盤まで激しい戦いを演じた青森選挙区で、民主新人の平山幸司さん(37)が自民前職の山崎力さん(60)を破る原動力になったのは、農家の強い怒りだ。安い外国産との競争にさらされ、担い手不足に苦しむ農村部は疲弊するばかり。効率化を優先し、大規模化を促進する自民党農政に、ここぞとばかりに「ノー」を突きつけた格好だ。
おいらせ町の農家の女性(59)は40年来の自民支持者だが、今回は選挙区、比例代表とも民主に投票した。「減反、減反って言いながら、土地改良区では必要のないダムを造って使用料を取る。本当に腹が立つ」と吐き捨てるように語った。
農水省が導入した品目横断的経営安定対策にも不満が渦巻く。弘前市の農業男性(63)は「金融機関が農地を担保として見てくれない現状では、大規模営農を目指す農家も大変だ」と指摘する。
農協の政治組織、県農政連は山崎さんを推薦したが、公然と反旗を翻した農協幹部もいる。つがるにしきた農協(つがる市)組合長の中谷藤太郎さん(84)は「自民は外国からの防波堤になってくれない」と、平山さんの集会に積極的に参加した。
河北新報社が公示前に青森県内の農家を対象に行ったアンケートでは、回答者の3割が自民支持から別の政党または「支持政党なし」に移った。
自らも稲作農家の県農協4連会長の工藤信さん(53)は「農協としては、協力できる党と協力すればいい」と割り切る。むつ市の自民関係者は「最近の農政への不満に加えて年金問題もあり、農家を昔のようにまとめきれない」と嘆いた。
◎愛知さん喜び半分 「批判は想定以上」神妙 宮城
宮城選挙区で再選を決めた自民前職の愛知治郎さん(38)は、仙台市青葉区の事務所で「皆さんのおかげで再び国会に行ける。6年間、全力を尽くす」と抱負を語った。
自民党が候補を1人に絞り、盤石に見えた選挙戦。党への逆風は収まらず、トップの民主前職に19万票の差をつけられた。祝福の拍手を受けながらも、愛知さんは「批判は想定以上に強かった。厳しい選挙戦だった」と神妙な表情。
支持者から「よく頑張ったぞ」との声が飛ぶと笑顔を見せ、「皆さんの支持を誇りとして、与えられた責務を果たしていきたい」と力強く決意を語った。河北新報より
民主の風が東北を席巻した。29日投開票の参院選。民主党は東北6選挙区(改選8議席)で、推薦を含む6人全員が、議席を勝ち取った。年金の不祥事、政治とカネ、閣僚の相次ぐ不適切発言。安倍政権に対する有権者の怒りと不信を背景に躍動し、1人区の青森、秋田、山形で新人が次々に自民党の牙城を攻め落とした。「次は政権を取る」。各陣営は地滑り的な大勝利に沸いた。
◎舟山さんリベンジ 山形で党初の議席獲得
山形選挙区は、民主新人の舟山康江さん(41)が前回に続く2度目の挑戦で同党初の議席を獲得。歓喜に沸く山形市の事務所で「誰もが安心して暮らせる地域社会、山形らしさを全力で守っていく」と力強く宣言した。
年金問題のほか、元農水省官僚としての実績を押し出し農業再生を重点的に訴え、自民の牙城の農村部に食い込んだ。1歳から6歳までの3児の母として子育て支援策の必要性を強調。若い主婦層にも共感が広がった。
舟山さんは「今の政治を変えてほしいという風を受けてつかんだ勝利。スタートラインに立ったばかりで、勝負はこれから」と、小柄な体に意欲をみなぎらせた。
◎岡崎さん余裕の3選 「この流れを政権交代に」
宮城選挙区では、民主前職の岡崎トミ子さん(63)が3選を決めた。午後8時10分ごろ、仙台市青葉区の事務所に黄色いスーツ姿の岡崎さんが到着すると、待ち受けた支持者から大きな拍手が起こり、歓声が上がった。
党国会議員、県議、労組が結束して運動を展開。安定した戦いぶりで、自民前職を終始リードした。
党支持層が多い仙台市だけでなく、農村など郡部も精力的に歩いた。「与野党逆転に力を貸してほしい」と訴えて支持を広げた。
支持者から花束を受け取った岡崎さん。「この流れを政権交代につなげていきたい」と新たな決意を燃やした。
◎「民主王国また一歩」福島・金子さん、党の連勝記録伸ばす
福島選挙区で初当選を決めた民主新人の金子恵美さん(42)と自民新人の森雅子さん(42)は、それぞれ福島市の事務所で支持者らと喜びを分かち合った。「みなさんの力で当選できました」。金子さんが感謝の言葉を述べると、支持者から大歓声がわき起こった。
家庭の事情から一時立候補が危ぶまれた苦境を乗り越えてのトップ当選。知事選以来の党の連勝記録を伸ばし、陣営は「民主王国にまた一歩近づいた」と気勢を上げた。
森さんも初当選が決まると、事務所で笑顔を振りまいた。「与党の立場で格差解消に取り組みたい」と抱負を語った。
目指したトップ当選は強い逆風でかなわなかった。立て直しを懸けて臨んだ自民党県連の幹部らは、喜びも半分といった厳しい表情を見せた。
◎平山さん粘り勝ち 青森・前職の壁破る
青森選挙区で、自民前職の分厚い壁を破って初当選を果たした民主新人の平山幸司さん(37)。当選が決まると、青森市の事務所では「政治の流れが変わった」と歓声がわいた。真っ黒に日焼けした平山さんは支持者と抱き合い、喜びを表した。
選挙初陣の平山さんは、清新さと若さを前面に打ち出して選挙を戦った。無名に近かったこともあり、序盤は劣勢が伝えられたが、高校球児でもあった平山さんは「あと一歩」と粘り続け、最後に逆転サヨナラホームランを放った。
年金問題が追い風になったことは自覚している。「生活者第一の政治を目指したい」と、最後は口元を引き締めた。
◎松浦さん笑顔満開 秋田・声からしお礼
当選確実の一報を受けて、秋田市の事務所に駆け付けた無所属新人の松浦大悟さん(37)は、選挙戦でからした声を振り絞るように、「ありがとうございます」とお礼の言葉を何度も繰り返した。
安倍晋三首相や閣僚らが連日応援に入った自民前職を倒してつかんだ勝利だけに喜びもひとしお。あちこちから「よくやった」と拍手喝采(かっさい)がわき起こり、日焼けしてたくましさが加わった松浦さんは、満面の笑みで支持者らと握手を交わした。
「政治の流れを変えたいとの思いが皆さんに通じた」。勝因を語った松浦さんの表情は、重責を果たす決意を示すように真剣な顔つきに一変した。
◎民主が盤石、歓喜ダブル 衆院岩手1区補選・階さん圧勝
「政権交代に向けた勝利の二重奏だ!」。岩手では民主党が参院選と衆院岩手1区補選のダブル選で圧勝し、小沢一郎党代表の地元「民主王国」の力を見せつけた。
参院選の前職平野達男さん(53)は開票直後に早々と当確が報じられ、盛岡市の事務所は歓声に包まれた。平野さんが日焼けした顔で「ここからが日本を変えるスタートだ」と叫ぶと、拍手は一段と大きくなった。
30分後の午後8時半には、衆院補選の階(しな)猛さん(40)の当確が伝わり、平野さんと共用する事務所は支持者の喜びが最高潮に。
階さんは選挙戦で連動した平野さん、議席を引き継ぐ形になった達増拓也岩手県知事らと固く握手し、「達増知事が築いてきた草の根政治を発展させる」「政権交代に力を尽くす」と語った。河北新報より
一言 あまりにもでたらめな自民党の政治に怒りの鉄拳が振り下ろされたという事だろう。
<みちのくひとり旅>